しな織創芸石田
OUR HISTORY
1990(平成2)年創業者石田誠は『残したい日本のホンモノ』として地元鶴岡で織られている伝統的工芸品「羽越しな布」を後世に伝えるために、しな織創芸石田を創業しました。
彼が20歳のとき、東京で不思議なエネルギーを宿す布との出会いがあり、それがしな布でした。その当時のしな布をとりまく状況は、作り手の不足により存続が危ぶまれ、素晴らしい素材でありながら、お土産品や民芸品の域にとどまっているというものでした。
「素材の特性を活かし、質の高い製品として日本中・世界中に広めることはできないだろうか・・・」
そのことを考え続け、通気性の良さを帽子に、軽く、丈夫な特性をバッグに活かし、デザインにもこだわりました。現代的で洗練された製品開発のために研究を重ね、ファッション性が高く、それでいて素材そのものの伝統美を感じさせるものを作り出しました。
古代の布に現代の感覚を取り入れた製品は、主要都市の百貨店や専門店で取り扱われるようになり、評価や関心は高まりをみせています。山形と新潟の山奥の小さな村でほそぼそと織り継がれているしな布は、また新たな次代への布として生まれ変わり続けています。
Profile
石田誠
1954年12月13日山形県鶴岡市大山生まれ
県立鶴岡南高校-青山学院大学経済学部卒業
明治5年創業の呉服屋「大山石田屋」5代目
平成2年「有限会社 丸石産業」設立
平成4年「しな織ギャラリー」開設以後、しな織プロデューサーとしてしな織商品の開発、普及に尽力。
平成24年4月29日、病気のため永眠。
追悼記念に制作された小冊子『経糸緯糸』がご覧いただけます。
NEXT GENERATION
工芸品とは、常に時代が求める機能とデザインを備えたものでなければいけません。そしてそれを後世に残していくためには、お客様に買って頂かなければいけません。木を切る人、糸を作る人、布を織る人、製品に仕上げる人、誰かが犠牲になっていれば伝統は続いていくことはできないでしょう。時間をかけて出来上がったものを適正な価格で販売する、価格以上のものを作るため日々努力する、これが私達の使命です。
原料からの製品作りは全て手作業でおこなわれ、多くの時間と根気が必要です。より早く、より多くという現代の流れとは対極にあるものです。しかし、そこにこそしな布、そして自然布が持っている「自然との共生」という思想があります。流れの早い現代社会において、手間ひまをかけて作ったものを身につけるということは、非常に贅沢なことではないでしょうか。
大昔から変わらないやり方で織り継がれている布を、素材の特性を活かし、上品で洗練されたデザインで提供する。自然との営みの中で生み出され、使われたしな布という素材には、身につけた人の心が豊かになる力が宿っているはずです。私達が提供しているのは単に製品ではなく、文化であり、人の営みなのです。